日本人右打者最多安打、史上初の複数回&2年連続トリプルスリー、史上初の同一シーズン本塁打王&盗塁王など、若くして数々の大記録を残してきた若きレジェンド・山田哲人。
しかし、2017年、恐らくは山田自身も野球人生で初めてかもしれない極度の大不振に陥り、もがき苦しんでいます。
山田哲人はなぜここまでの大スランプに陥ってしまったのか。過去の打撃を取り戻すことはできるのか。打撃の傾向から緊急分析します。
目次
これまでの成績
・2014年にレギュラー定着した山田選手は、昨年までの過去3年間で非常にレベルの高い成績を残してきました。それらの成績と比べると2017年(交流戦終了時)の成績はほぼ全てにおいて大幅に成績を落としています。
2016年終盤に受けた死球やWBCからの蓄積疲労などが原因として考えられていますが、実際の所は山田選手の打撃に何が起きているのでしょうか。
(分析に使用したデータは「プロ野球ヌルデータ置き場」様でまとめられているものを使わせていただきました)
①対左右投手別
・過去3年間の傾向としては、左右を苦にしない打撃をしていたことがわかります。対左投手に対しては過去2年続けて長打率7割越えを記録しています。大不振に陥っている今年に関しても、対左投手のOPSは.954と好成績を残しています。
ただし、昨年までの3年間はいずれもOPS.940越えを記録していた対右投手でのOPSは.646と非常に苦しんでいます。今年受けた死球はいずれも右投手から受けたものであることも影響している可能性があります。
②打球方向別
・過去3年間と比較すると、打球方向の割合にほとんど変化はありません。ただし、今年は左方向への打球の打率及び本塁打率が大幅に低下しています。過去2年は左方向だけで30本塁打以上を記録していますが、今年は65試合消化時点で僅かに3本塁打のみと激減。
打球方向の割合に変化は見られないことから、強い打球を放てていない、もしくは微妙なズレにより完璧にボールを捉えきれていない可能性があります。
③試合時間帯別
・過去3年間は試合時間帯別で大きく打撃成績に違いはありません。今年は絶不調の中、デーゲームにおいてはOPS.900近い成績を残していますが、ナイターではOPS.619。特に長打率は.279と、かつて本塁打王を獲得した打者としては信じられない成績です。
山田選手は度々春先の寒い時期が苦手だと噂されており、今年は中々気候が暖かくなるのも遅れ、夜も肌寒く感じられることが多かったのと、自身の打撃不調も相まって成績を落としている可能性があります。
④ホーム・ビジター別
・過去3年間では、ホームでいずれもOPS1.050越えという圧倒的な打撃成績を残してきています。しかし、今年はホームでのOPSは.776と苦しんでいます。ビジターでは更に成績を落とし、OPSは.642。現在の本塁打ペースだと、ホームでは約2分の1、ビジターでは約3分の1のペースです。
三振率には大きな変化が見られないことから、バットに当てることはできてもスタンドまで届かない、または野手の間を抜けるような強い打球を打てていない可能性が考えられます。
【まとめ】山田哲人の打撃を取り戻すためには?
4つの側面から現在の山田哲人の打撃傾向を分析してみました。
結論としては以下のようにまとめました。
①対左投手には対応できている
②中堅方向へは安打がよく出ている
③デーゲームでは成績を残している
④ホーム・ビジター共に成績を落としている
以上の傾向から、山田哲人が従来の打撃を取り戻すためのポイントを一点あげると、
センター方向への打球を増やす
打撃の基本としてよく言われていることですが、絶不調に陥っている山田選手でもセンター方向への打率は.325、本塁打率も過去3年を上回る.050を記録しています。今後センター方向への打球が増えていくようになれば、山田哲人の打撃も徐々に取り戻していけるのではないかと思います。
若くして数々の大記録を残してきたスーパースターはこんなものじゃないと信じています。今後の山田哲人の復活に期待しましょう。